プロジェクトストーリー

売れ過ぎた
アイスクリーム。

SUMMARY

あっという間の出来事でした。2017年4月17日に発売した本格ブリュレアイス「BRULEE」。 発売と同時にSNSで話題となり売り切れ続出。販売計画を大幅に上回り、発売からわずか10日間で一時販売休止となってしまいました。約300円という高単価にも関わらず、爆発的な人気となったのは、ブリュレ最大の特徴でもある表面のパリパリとした食感と、オーブンで焼いたビジュアルを表現した焼き目です。実は、製造工程において、本当にアイスクリームを「焼いているんです」。溶かさず焼き目をつけ、かつパリパリとした食感を実現するこの技術は特許を取得。世の中にも、業界にも大きな驚きを与えた「BRULEE」の開発ストーリーに迫ります。

1 商品企画

世界に通用する、
クレームブリュレの
食感を実現したい。

商品企画が担うのは、商品のコアとなるコンセプト設計です。ホールディングス化がきっかけとなり、これまでにない価値の創造に挑むことになった商品企画担当者。「クレームブリュレのような食感を実現したい」という想いから、このプロジェクトはスタートします。当時、「ブリュレ風」のアイスはありましたが、専門店で食べられるようなパリパリとした食感を楽しめる本格的なアイスはどこにもありませんでした。「専門店の味を再現して、世界と勝負できる商品」をめざし、オハヨー史上、最高品質のアイスをつくる挑戦が始まりました。

商品企画担当

いい大人の夢を面白がってくれる
仲間に恵まれました。

商品企画担当

クレームブリュレの食感を実現したいという想いは、入社当初から考えていたことでした。アメリカへの出張時に、現地のレストランで日常的にブリュレを楽しむ人々を見て、世界で勝負できる商品になると確信。ただ、どの企業も実現していないことに挑むので、ほぼすべてが初めてづくし。でも、諦めるという選択肢はなかったです。いくつもの壁を乗り越え商品化にたどり着けたのは、関わったプロジェクトメンバーが「絶対に実現しよう!」と一丸となって取り組むことができたからこそです。アイデアの発端は私というだけで、本格ブリュレアイス「BRULEE」の生みの親は、メンバー全員です。

2 応用研究

1000回の試行錯誤から
誕生した、
妥協0の味。

応用研究が担うのはコンセプトを元にした味の開発、大量生産をするための製法検討です。「専門店と変わらないパリパリとした食感」を実現するためには、アイスを焼く必要があります。それだけでも難しいのに、美しい焼き目にもこだわりました。見た目も、おいしさのひとつなのです。開発チームは、砂糖や油脂など様々な原料の配合や製法を検討に検討を重ね、焼き工程の試行錯誤は1000回を超えました。そうして1年後、パリパリとした食感の長期保持と美しい焼き目を実現しつつ、キャラメリゼの下にあるアイスを溶かさない製法を実現したのです。

応用研究担当

成功の秘訣ですか?
失敗し続けたことですね。

応用研究担当

専門店レベルの品質を、工場で大量生産できる手法を確立する。これって、最も難易度の高い工程なんです。正直、最初は不可能だと思いました。でも同時に、一番難しい工程を任せてくれた先輩と上司の期待に応えたいからこそ、挑みたいとも思ったんです。簡単なことなんてひとつもないくらい、自分史上、最大ともいえる不可能への挑戦になりました。誰よりもブリュレを焼きましたし、誰よりも失敗しました。だからこそ、誰よりも知識を身につけることができました。だから何百回という失敗回数は、自慢の挑戦回数なんです。

3 生産技術

製造ラインだけでなく、
世界初の技術も確立。
それも2つ。

生産技術が担うのは、一つ一つを手作りしたような本格ブリュレアイスを大量生産できる生産ラインをつくることです。手作りの試作段階で上手につくれたとしても、生産設備による大量製造となると難易度は格段に上がります。特に、ブリュレの特長である“表面のキャラメリゼのパリパリとした食感の長期保持”と“専門店と同様の美しい焼き目”を再現する工程は困難を極めました。最初はパリパリでも、時間経過とともにアイスから水分を吸収して、食感が失われてしまうのです。アイスを溶かさず、パリパリとした食感を長期保存できるような技術は存在しません。ないなら、つくるしかありません。今回のプロジェクトを通じて、オハヨー乳業の技術力が認められ、特許を取得した新しい技術が2つ誕生しました。

生産技術担当

前例がない?
だからどうしたって感じです。

生産技術担当

“これまでにない焼成手段で、焼きアイスをつくりたい”。そんな問い合わせからはじまったチャレンジでした。アイスの表面を焼き、きれいな焼き目を維持しながら冷却する。この2つにはとことん悩まされました。当時はそんな技術ありませんでしたから。開発期間は7ヶ月という短期間のなか、それでもやり遂げられたのは、生産技術部だけのチカラではありません。味づくりを担う研究部門とは何度もアイデアをぶつけ合いましたし、製造部とは、どうすれば安全に生産設備を操作できるのかを何度も話し合いました。商品としては一旦完成しましたが、この商品はもっとよくなるポテンシャルを秘めています。まだまだこれから。私も、“BRULEE”も、成長途中です。

4 品質管理

会社を飛び出し、
他社工場の品質基準も
イチから再設計。

品質管理が担うのは、商品の品質と安全の管理です。「BRULEE」の製造工程では、カップに入れたままアイスを焼くため紙やプラスチック製のアイスカップは使えず、中身を保護するコーティングを施した特殊なタイプのアルミカップを採用。アルミ製を採用した例は過去にありません。口に入る食品をつくる企業として、安全性の担保は非常に重要です。どれだけ自社内の衛生管理を徹底したとしても、カップが工場に運ばれてくるまでに異物が混入する可能性もあります。そのため、品質管理を担うメンバーはアルミカップを製造する他社の工場にまで入り込み点検実施。その工場の品質基準をイチから見直したのです。

品質管理担当

自分を磨くことで、
商品をより良く磨いていくんです。

品質管理担当

このプロジェクトの話を聞いたときは、大変そうだなぁと思ったのですが、その直感は見事にあたりました。品質管理のアイス部門に配属されて初めての新商品だったということもあります。自分にとってはなにもかも初めてのことばかり。アルミカップの製造工場に通い詰めて、他社の製造工程に介入するなんてなかなか経験できることでもありませんから。そのぶん、“BRULEE”は、私を大きく成長させてくれました。でも、安全強化にゴールはありません。さらなる衛生面の保持強化に向けて追求したいです。

5 製造

「BRULEE」の品質を
決定づける奇跡のバランスを、
毎日実現する。

製造が担うのは、生産設備の操作によって安定した品質の「BRULEE」をつくりだすことです。単純に設備のボタンを押すだけではありません。非常に繊細な商品ということもあり、生産設備の調整がコンマ数ミリずれるだけで、「BRULEE」の命であるキャラメリゼが焦げたり、穴が空いてしまうため日々調整が必要となります。安定した品質と安全は、人間の手でしか実現できないのです。製造を担うメンバーは来る日も来る日も試行錯誤を繰り返すことで、すべての生産設備がうまく噛み合う奇跡のバランスを構築しました。

製造担当

コンマ数ミリの「調整」っていうか
「戦い」なんです、
感動を届けるための。

製造担当

製造工程において特に困難を極めたのが、アイスの美しい焼き目の表現です。コツは、アイスを真っ平らに製造することなのですが、その真っ平らが難しいんです。調整がコンマ数ミリずれるだけで、台無しになりますから。アイスだけじゃなく、すぐ凹むアルミカップをいかに傷つけないようにするか、機械に不具合を起こしやすい砂糖をどう安定供給するか。毎日、出来上がりをみながら機械の微調整を繰り返します。決して流れ作業ではありません。製造は、オハヨー乳業を代表する商品のクオリティを決める要のポジションなんです。

6 営業

ホンモノの商品を、
携わったすべての人の想いを、
日本中に伝え届ける。

営業が担うのは、「BRULEE」を小売店のバイヤーに紹介、開発にかけた想いとともにオハヨー乳業が求める「おいしさ」と、その価値を伝えることです。しかし、BRULEEはまだ世の中に認知されていない新商品ということもあり、営業部門は一丸となって小売店への販促物の設置や店内での試食会等の販促活動に取り組みました。その結果、BRULEEは発売後すぐに大ヒットし、SNSでも話題に。あまりの売れゆきに、わずか10日で販売休止にせざるを得ないほどの人気商品になりました。再発売の際には、代官山のポップアップストアやwebキャンペーン、交通広告を実施。今もファンを増やし続けています。

営業担当

流行で終わらず、
時代が変わっても愛され続ける。
そんな商品に育てていく。

営業担当

オハヨー乳業が掲げる“真の欲求を究めて、ホンモノをカタチにする”を体現する商品の第一弾です。自然と営業部の気持ちはひとつになりました。営業の仕事って、いかに多くの自社商品をお店に置いてもらえるかが注目されがちですが、それだけじゃないんです。たくさんの消費者の方々に愛されるよう、オハヨー乳業の代表として商品の価値を世の中に伝えていく仕事です。売って終わりじゃなく、商品を育てていく。今回のプロジェクトを通じて、そのことに改めて気づくことができました。